こんにちは。研究学園歯科です。
歯を失ってしまったとき、多くの患者様が一番心配されるのが「食事」のことです。 「もう硬いお肉は食べられないのかな?」 「入れ歯にしたら、食事の味は変わってしまうの?」
そのような疑問にお答えするために、今回は歯科治療における「噛む力(咀嚼能力)」について、具体的なデータをもとにお話しします。
「自分の歯」を100とした時、それぞれの治療法は何%?
治療法を選ぶ際、見た目や費用も大切ですが、「どれくらい元通りに噛めるか」は生活の質(QOL)に直結する重要なポイントです。
治療法別「噛める力」の比較目安
- 天然の歯:100% (何でも問題なく噛み砕くことができます)
- インプラント:80% 〜 90% (天然歯に限りなく近い感覚で食事が楽しめます)
- ブリッジ:約 60% (固定式ですが、支えとなる歯への負担を考慮する必要があります)
- 部分入れ歯:30% 〜 40% (弾力のあるものや硬いものは、少し苦手になります)
- 総入れ歯:10% 〜 20% (柔らかいものが中心となり、噛む力は大きく制限されます)
なぜこんなに「噛む力」に差が出るのか?
数字を見て「入れ歯だとこんなに噛めないの?」と驚かれたかもしれません。この違いが生まれる最大の理由は、「何で支えているか」の違いです。
1. インプラント(骨で支える)
インプラントは、顎の「骨」に人工歯根がしっかり結合します。硬い骨が土台となるため、天然の歯と同じようにグラつかず、強い力で噛むことができます。お煎餅やステーキなど、硬いものも諦める必要がほとんどありません。
2. ブリッジ(隣の歯で支える)
失った歯の両隣を削って橋をかける方法です。セメントで固定するため違和感は少ないですが、本来3本で支えるべき力を2本(土台となる歯)で負担することになります。土台の歯を守るためにも、無理な力はかけられず、回復率は60%程度となります。
3. 入れ歯(歯ぐきで支える)
入れ歯は、基本的に「歯ぐきの粘膜」の上に乗っています。 骨と違って、歯ぐきは柔らかいクッションのようなものです。強く噛もうとすると、入れ歯が歯ぐきに沈み込んでしまい、力が逃げてしまいます。また、粘膜はデリケートなため、強く噛むと痛みが出やすく、どうしても噛む力は弱くなってしまいます。

「噛める」ことは、健康を守ること
しっかり噛めるということは、単に食事が美味しいだけでなく、全身の健康にとっても大切です。
- 胃腸への負担軽減: 食べ物を細かく砕くことで、消化を助けます。
- 脳の活性化: 噛む刺激は脳への血流を増やし、認知症予防にも良い影響があると言われています。
- 栄養摂取: 硬い野菜やお肉を避けずに食べられることで、栄養バランスが保たれます。
ライフスタイルに合った選択を
もちろん、すべての患者様にインプラントが適しているわけではありません。お口の状態、持病の有無、ご予算、そして「これからの人生で何を大切にしたいか」によって、ベストな選択は異なります。
当院(研究学園歯科)では、それぞれの治療法のメリット・デメリットを、医学的根拠(エビデンス)に基づいて正確にお伝えしています。 「しっかり噛めるようになりたい」というご希望があれば、まずは一度ご相談ください。現在の状態に合わせて、最適なプランを一緒に考えましょう。
【参考文献・出典】 本記事の数値等は、以下の公的機関・資料を参考に作成しています。
- 公益財団法人 8020推進財団「歯を失った場合の治療法」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「インプラント」「義歯」
- Kapur KK, et al. (1964) / Sato Y, et al. (1989) 補綴装置と咀嚼能力に関する研究報告