歯科医療において、ホームケア(セルフケア)は口腔の健康維持と疾患予防に不可欠です。歯科医院での専門的なケア(プロフェッショナルケア)と組み合わせることで、より良い口腔健康を長期的に維持できます。
- ホームケアの目的
- プラークコントロール:
プラーク(歯垢)は虫歯や歯周病の主な原因です。日常的なブラッシングやフロッシングでプラークの蓄積を防ぎます。
- 虫歯・歯周病の予防:
正しいホームケアで、初期のう蝕や歯肉炎の進行を抑制し、重篤な疾患への進展を防ぎます。
- 口臭予防:
口腔内の食べかすやプラーク、舌苔(ぜったい)を取り除くことで、口臭の原因を軽減します。
- 全身疾患のリスク低減:
近年、歯周病と糖尿病、心血管疾患、誤嚥性肺炎などの全身疾患との関連が明らかになっています。口腔ケアは全身の健康にも寄与します。
- 基本的なホームケアの内容
- 正しい歯磨き(ブラッシング):
・1日2回以上、フッ化物配合歯磨剤を使用
・歯と歯茎の境目、歯の裏側、奥歯を重点的にケア
・力を入れすぎず、やさしく磨くことが重要
- デンタルフロス・歯間ブラシの使用:
・歯ブラシだけでは届かない歯間部のプラーク除去
・歯周病リスクの高い方には歯間ブラシの併用が効果的
- 舌清掃:
・舌苔を除去することで口臭予防や細菌コントロールが可能
- うがい薬の活用:
・抗菌作用のある洗口液で補助的にプラーク抑制をサポート
- 食習慣の改善:
・砂糖の摂取頻度を抑え、バランスの取れた食事を心がける
・間食を減らすことで、う蝕リスクの低減に繋がる
- ホームケアとプロフェッショナルケアの相互作用
ホームケアは「日常的な管理」、プロフェッショナルケアは「専門的な診断・治療・指導」として位置づけられます。
- 定期的な歯科検診で、ホームケアの成果を確認し、不十分な点をプロの視点でアドバイス。
- スケーリングやPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)で取りきれないプラークや歯石を除去。
- 高齢者・特別な配慮が必要な場合
- 高齢者:
口腔機能低下症(オーラルフレイル)の予防や誤嚥性肺炎のリスク管理として、口腔ケアの重要性がさらに増します。
- 矯正治療中の方:
研究学園歯科ではワイヤー矯正もおこなっております。矯正装置周囲のプラーク管理が困難なため、タフトなどを使った清掃法などが推奨されます。当院受付で販売しております。
- 全身疾患を有する患者:
糖尿病、心疾患、免疫抑制状態などの場合、口腔内感染症の予防が全身管理に直結します。
- エビデンスに基づく効果
- 歯周病予防:
定期的なホームケアと歯科医院でのプロケアを組み合わせることで、歯周病の進行を大幅に抑制することが臨床研究で示されています。
- う蝕予防:
フッ化物配合歯磨剤の使用は、う蝕発生率を約24%低下させることが複数のメタ分析で確認されています。
- 全身疾患との関連:
歯周病治療が糖尿病の血糖コントロールを改善する可能性が報告されています。また、高齢者の口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症率を低減させることも示唆されています。
まとめ
ホームケアは「健康の基盤」であり、歯科医院でのケアは「その基盤を強化するもの」です。
日々の積み重ねが、口腔内の健康だけでなく全身の健康にも良い影響を与えるため、正しい知識と習慣を身につけることが重要です。当院は担当制で同じDHが経過を追う事ができ、少しの変化も見逃しません。歯科受診もお忘れなく。